H27年度受講生GSC広島活動記録

PAG国際学会発表

PAG(the International Plant and Animal Genome Conference) in Asia 2016
参加・発表報告

広島県立西条農業高等学校3年 坪井 美樹
GSC広島1期生(生物分野)

 私は、GSC(グローバルサイエンスキャンパス)広島プログラムにより、平成28年6月6日から8日までの間、シンガポールのGrand Copthorne Waterfront Hotelで開催されたPAG in Asia 2016に参加しました。この学会では、植物や動物に関して、大学はもちろん企業や研究者による様々な研究発表が行われていました。今回私は、西条農業高 等学校畜産科で先輩方と今まで取り組んできた研究をさらに進展させ、その成果を世界の研究者に発信し、意見をもらうこと、英語でのコミュニケーションをと ることを目的とし、国際学会に初めて参加しました。6月7日の午前と午後の2回をコアタイムにポスター発表を行いました。

 私は、 「The factors that influence the sex determination and sexual differentiation of avians」(「鳥類の性決定・性分化に影響を及ぼす要因について」)というタイトルでポスター発表を行いました。研究内容は、鳥類の性決定・性分化に 影響を及ぼす要因についての研究です。哺乳類の性染色体構成は、雌XX、雄XYですが、鳥類の性染色体構成は、雌ZW、雄ZZであり、雌ヘテロ型の性染色 体構成となっているため、雄の精子を分離し雌雄の産み分けが可能な哺乳類とは違います。したがって、鳥類の産み分けは産業利用や繁殖において課題となって います。そこで私たちは環境温度によって性が変化するという、爬虫類が持っている温度依存性決定という性決定様式に着目し、爬虫類から進化した鳥類にも、 このような性決定様式があるのではないかとの仮説をたて、実験を進めてきました。産業的に推奨されている孵卵温度の37. 9℃より2℃下げた35.9℃では、約3%の確率で性変化した個体が出現し、孵卵温度変化が性変化の要因の1つに成り得るかもしれないと考えられました。 発表はポスターに加えてラミネート加工した補足資料を作ったり、何度もポスターの修正をしたりと意気込みたっぷりでポスター発表に臨みました。

 さて、発表当日、ポスターの前に立ち、学会に参加している方に「Can I talk about my poster?」と積極的に話しかけ、多くの人に足を留めてもらい、中でもおよそ10人の方に発表をじっくりと聴いてもらいました。その中で特に、ドイツ の研究者から、「性は3日で決まるので、3日間だけ変化させた温度にして、それ以降は通常の孵卵温度に戻した方が、発育停止数が少なくなるのではないか」 とアドバイスをいただきました。なるほどといただいた指摘に感動し、シンガポールまで来てよかったと実感した瞬間でした。また、韓国でブタのゲノムを研究 する研究者からの「鳥類が孵卵温度で性変化するのは初めての研究か?」という質問にも「This is First report!」と英語で答え、是非産業に応用ができると素晴らしいねとコメントをいただき、交流することが出来ました。その研究者の、「豚の遺伝(ゲノ ム)に関する発表を聴く機会がありました。英語での発表だったので、理解することがなかなか難しかったですが、言語や国民性の違う人々と交流は、大変貴重 な経験となりました。 

 また、今回の国際学会発表を通じて、私のこれまでの研究成果を世界の研究者に発信し、意見をもらい、海外の方から「Very interesting!」と言ったコメントを聞き、研究を続けてきてよかったと感じました。今回の経験を踏まえ、研究をさらに発展させ、人や社会の役に 立つ研究につなげていくとともに、自身の成長にさらに活かしていきたいと思います。

 英語によるポスターの作製や発表、コミュニケーショ ンなど、まだまだ私自身の英語能力が足りないところがあり、不安でいっぱいでし たが、どうにか無事に 発表を終えることが出来ました。それ以上、海外に、国際学会の場に一歩踏み出せたことは私の経験において非常に大きな一歩になりました。

  最後になりましたが、本研究や今回の発表をTAとしてサポートしていただいた、広島大学大学院生物圏科学研究科大学院生荒谷友美さんに感謝します。さら に英語の指導や補足をしていただいた西条農業高校の英語科の先生方に感謝するとともに、このような国際学会に参加する機会を与えていただきましたGSC広 島プログラムの先生方に深く感謝いたします。たいへんありがとうございました。